家庭裁判所での調停・審判

相続人間で、遺産分割について合意できないとき、又は、そもそも話し合いができないときは、それぞれの相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができます(民法907条2項)。

家庭裁判所に遺産分割を請求する場合、①調停(家事事件手続法別表第2の12項)、または、②審判の申立を行うことができます。

調停(ちょうてい)では、二人の調停委員が、相続人の間に入って、合意をするよう働きかけます(東京家庭裁判所ではほとんどの場合、調停委員の一人は弁護士です)。調停は、裁判と違い、裁判官が決定するのではなく、当事者が話し合いにより、合意することを目的とします。調停で合意が成立した場合は、その合意の内容を記載した調書は判決と同様の効力を持ち、上記のように、合意の内容のとおり、銀行口座から相続財産であるお金を引き出したり、株式などの有価証券の名義を変更したり、不動産の名義の変更を行うことなどができます。

調停が成立しない場合(「不調(ふちょう)」といいます。)は、審判手続きとなります。

審判(しんぱん)とは、家庭に関する紛争について、家事審判官である裁判官が当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査の結果等種々の資料に基づいて判断を決定する手続きです。

上記のとおり、遺産分割の場合、調停ではなく、いきなり審判を求めることも可能ですが、現実には、その例は少なく(遺産分割の申立件数の約2割程度の件数と言われています)、審判事件として申し立てられても、裁判所の判断で、調停とされるケースも多いです。

審判で、裁判官に判断してもらった方が、早いと思えるのになぜ、いきなり、審判でなく、調停を求めるのでしょうか。また、なぜ、裁判所は、審判を申し立てられても、調停に回してしまうのでしょうか。

たとえば、母=A、長男=B、次男=Cの事例(父親は既に亡くなっており、相続人は、BとCだけとします。また、Aの遺言書はないものとします。)で考えてみます。Aが亡くなりましたが、その資産は、居住していた3000万円のマンションのみでした。BもCもそのマンションが欲しいと言って、譲りません。

この場合、この遺産分割について、審判を申し立てた場合、裁判官はどのような判断を出すでしょうか。

裁判官としては、そのマンションを法定相続分(2分の1)どおりで、BとCが共有する内容の審判を出すしかありません。法定相続分がある以上、BとCのどちら一方の所有とすることはできません。また、このマンションを売却して、お金で分配するということを審判の内容とすることもできません。強制的に売却させることはできないからです。結局、問題が解決しないことになってしまいます。

このように審判を出してもらっても、それだけでは、問題が解決しないことから(さらに、共有物をどのように分割するかの争いが生じます)、相続人も裁判所も、審判については、消極的になります。

また、相続財産に不動産があり、その価格に争いがある場合等は、裁判所は、審判を出すために、当事者に正式な不動産鑑定士による鑑定評価書等を提出することを求めます。これらの費用が高額になることがあることも、相続人が審判に消極的になる理由の一つです。

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