母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
遺産分割の調停の申立てをしたいと思いますが、遺産分割調停を申し立てるためには、どのような書面、資料が必要でしょうか
遺産分割調停申立ての為には、申立書、遺産目録及び添付資料(戸籍関係の資料及び遺産関係の資料)が必要です。

遺産分割調停の申立書は、Google等で「遺産分割申立書 裁判所」等を検索して頂き、裁判所のサイトからダウンロードしてもらえば、入手することができます。
ただし、家庭裁判所により、微妙に書式が異なることがあるので、申立てを行う家庭裁判所に電話等で、どこからダウンロードしたかを話して、その書式でよいかどうか確認した方がよいでしょう。

この申立書を作成し、印紙・郵券を同封して、添付資料と一緒に郵送または、持参して申立てます。
印紙・郵券も、家庭裁判所により異なることがありますので、裁判所の全体のサイトの中のその裁判所のHPで確認されるか、その裁判所のHPがない場合は、電話等で、ご確認下さい。

申立書の書式に従って、申立人、共同相続人、代理人等の住所・氏名、申立の趣旨、理由を記載することになります。
東京家庭裁判所の書式ですと、申立の趣旨、理由もチェック方式で、該当する項目にチェックすれば足ります。
その他の書式で、書き方が分からない場合は、家庭裁判所の担当或いは、相談部署に来訪や電話で聞いてみることもできます。

また、遺産目録も作成する必要があります。
被相続人(亡くなった方)の遺産を【土地】、【建物】、【現金、預・貯金、株式等】、「負債」に分けて記載します。
なお、申立書と遺産目録は、相手方の相続人等にも、送付されますので、相手方に知られたくないことは記載しないようご注意して下さい

申立てには、戸籍関係の資料及び遺産関係の資料などの添付資料をつける必要があります。

戸籍関係の資料(原本の提出が必要です)としては、
① 相続人全員の戸籍謄本(3ヶ月以内)、
② 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本(生まれてから死亡するまでの間の連続した全戸籍)(期限はありません。)、(法定相続情報証明書を使える家庭裁判所もありますので、同証明書を提出したい場合は、裁判所に確認して下さい。)
③ 全相続人の住民票又は戸籍の付票(3ヶ月以内)
が必要です。なお、調停後の上記戸籍等の原本還付を求める場合は、その旨の上申書の提出等を行うことになります。

遺産関係の資料としては、遺産として把握している資産について、
不動産については
ア 登録事項証明書又は登記簿謄本
イ 固定資産評価証明書
なお、これらの書類は、原本の提出が必要です。

預貯金については
ウ 残高証明書または通帳等

株式・社債・投資信託等については
エ 内容を示す文書(所有株式数、銘柄などの分かる通知書、証明書または株券など)
を準備して提出する必要があります。

また、負債についても、オ 債権者、金額等がわかる書類(契約書、催促の通知書等)を準備して、そのコピーを提出することが望ましいです。

この前提として、遺産である資産・負債の調査が必要です。本HPでも、
相続財産(遺産)の調査方法」、
相続債務(借金)の調査方法
の記事がありますので、参考にしていただければと思います。

戸籍等の取得にしても、資産・負債の調査にしても、迷われるようであれば、弁護士に相談することをお勧めします。

また、不動産について、遺産共有と通常の共有(いわゆる物権共有)が併存している場合で、換価を希望される場合は、遺産分割調停より、共有物分割訴訟の方が迅速に目的を達成できることも多いです(本HP「遺産共有と他の共有が併存する場合の共有物分割の方法」。)

そもそも、調停を申し立てるかどうか迷われている場合も、弁護士にご相談ください。