母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
遺産分割の調停の申立てをしたいと思いますが、遺産分割調停というのは、具体的にはどのように行われるのでしょうか。
調停は、通常、裁判官1名と男女各1名合計2名の調停委員で構成された調停委員会で運営が行われます。
調停委員は、公募・推薦で選ばれた方ですが、東京家庭裁判所の場合、遺産分割調停の調停委員の内1名は、弁護士が選任されるようになっています。

裁判官が、当事者と会うのは、東京家庭裁判所であれば遺産の範囲や評価等の合意の際や寄与分の評価の意見を述べるときや調停成立の時です。
東京家庭裁判所以外の裁判所の場合は、主に調停成立の時や当事者に何らかの意見や説明を行う時でしょう。

このように裁判官が当事者と会う機会自体は、多くありませんが、調停委員は、1回の調停ごとに書面で報告書を作成しこれに対し、次回の調停までに裁判官が意見等を記載して、調停委員はこれを見て、調停を運営するなどしています。

また、区切りの調停(1回、3回、7回等)ごとや、遺産の範囲や評価などの合意の際にも、裁判官と調停委員で打ち合わせ(評議)を行っています。

コロナ前は、基本的には、午前10時~12時と午後1時30分~午後3時30分まで、それぞれ2時間枠で、午前及び午後に1調停ずつを入れ、当事者の都合等との調整のため、午後3時30分から調停を入れることがあるという形でした。

しかし、コロナウイスルによる1回目の緊急事態宣言の後の令和2年6月8日(月)からは、東京家庭裁判所の場合は、①午前10時から11時45分まで、②午後1時15分から午後3時まで、③午後3時20分から午後5時までの3つの時間帯として、いままでの2時間から1時間45分程度と1回の調停の時間を短くし、3回の調停をいれることになりました。
また、30分以上の連続使用は禁止され、30分使用したら10分程度の換気をすることになりました。
このため、当事者の交代も原則30分以内で行うことになり、通常は、この交代の際に換気を行うことになりました。

裁判所に来た当事者は、(調停を申立てた)申立人は申立人待合室で、相手方は相手待合室で待つことになります。
調停の始まる際には、調停委員が呼びに来ます

第1回目の期日の際は、申立人、相手方の双方を読んで、遺産分割調停のやり方等を説明することもありますが、当事者が相手方当事者と面談することを嫌がる場合、双方に弁護士がついていたり、弁護士のみが出頭の場合は、この手続は省略されることもあります。

まずは、申立人から事情や申立書等の趣旨を聞くことになり、その後、相手方が出席していれば、相手方からも事情や意見を聞くことになります。

その後の調停は、東京家庭裁判所の場合は、①相続人の範囲、②遺産の範囲、③遺産の評価、④各相続人の取得額(特別受益、寄与分)、⑤遺産分割方法について、順番に議論し、合意をするなどして進行します。
他の裁判所の場合も、順番が固定していなかったり、いちいち合意をとらなかったりすることはありますが、これらの論点について、話し合っていくことになります
これらの論点の中では、遺産の評価が一つの山場になることが多いです。

このような手続の流れがある一方、双方の当事者が、その流れとは別に、それぞれの調停案を提出し、交渉することになります。

この二つの流れの中で、どのように遺産の評価等に合意し、どのような調停案をどの時期に提案するかを調整することにより、自分の望む調停案にどのように近づけるかが、遺産分割調停では重要になります。