母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
そうしたところ、家庭裁判所から、期日通知書等の書面が送付されてきました
どうやら、一番上の兄が遺産分割調停を申し立てたようです。どのように書面を作成すればよいでしょうか。
遺産分割調停で、裁判所から送付されるのは、後記【裁判所から送付される書面】のとおり、かなり、多くの書類です。
以下では、ポイントを絞って、記載する書面等の説明をしたいと思います。

【1番目として】、裁判所によって、送付される書面・書式が微妙に違います(以下は、東京家庭裁判所の書式等を前提として記載します。)。
そこで、「送付書面のご案内」等の名称のどのような書面を送付したかを記載した書面も同封されていると思いますので、そこに記載されている書面があるかどうかを、確認して下さい

次に、期日の1週間前にまでに、同封された書類の内、
1 「連絡先等の届出書」(後記④)
2 「答弁書」、「事情説明書」などの名称の事実関係を主張する書面(後記⑥)
3 「進行に関する照会回答書(相手方用)」などの進行に関する書面(後記⑦)
を、郵送等で家庭裁判所に提出することが必要です。
なお、提出した書類については、コピーを取っておくことをおすすめします。
あとで、自分がどのように記載したかが分からなくなりますし、弁護士等に相談する際にも、コピーがあった方が便利です。

そのためには、【2番目】として、「期日通知書」(後記①)で、調停の第1回目期日の日時、調停の事件番号、裁判所の担当部担当係の担当書記官の氏名・電話番号を確認して下さい
裁判所への連絡に必要なので、この通知はなくさないようにして下さい。

【3番目】として、「連絡先等の届出書」に記載して下さい
この書面には、相談者が書類を受け取る場所(裁判所からすれば郵送先)、相談者の平日昼間の連絡先等を記載します
なお、この連絡先やその他の情報について、申立人及び他の相続人に知られたくないときは、「非開示の希望に関する申出書」(後記⑤)にその旨記載し、その下に、「連絡先等の届出書」や、その他非開示を求める書面を、ホチキス止めして下さい

【4番目】として、「答弁書」、「事情説明書」などの名称の事実関係を主張する書面に記載して下さい
なお、この書面は、申請があれば、他の相続人に閲覧(見る)させたりコピーさせたりすることもありますので、ご注意下さい

この書面には、下記の「第1」~「第4」の事項を記載することになります。
第1 遺産分割の前提となる問題について
として、遺言書、遺産分割協議、相続人の範囲、相続人の判断能力、行方不明の相続人がいないか、遺産の範囲等を記載することになります。

第2 被相続人について
として、被相続人(亡くなった方)の死亡原因と死亡までの状態、同居していた相続人の有無、身の回りの面倒をみていた相続人、被相続人の生計、被相続人から贈与を受けていた相続人、被相続人の債務等を記載することになります。

第3 今回の申立てについて
として、調停が申し立てられるまでのいきさつ(話し合いの有無、話し合いがまとまらなかった原因)、争いがあるのは、どの相続人とどの相続人の間か等を記載することになります。

第4 分割方法について
として、希望する分割方法を記載することになります。

【5番目】に、「進行に関する照会回答書」を記載します
この書面は、原則として閲覧・コピーの対象とはしない取り扱いになっています

内容としては、第1回調停期日への出席の有無、欠席の場合の理由、代理人弁護士の選任予定、相続人の中に裁判所で暴力をふるうおそれがある方がいるかどうか、調停期日の希望等、記載することになります。

記載しましたら、1「連絡先等の届出書」、2「答弁書」、3「進行に関する照会回答書(相手方用)」等を、郵送等(返信用封筒が同封されている場合はそれで)で、第1回期日の1週間前までに提出します。

第1回目の期日までに、遺産等についての資料を出すこともありますが、素人の方でまた弁護士に頼まれていない方の場合は、第1回目の期日までは、とりあえず、上記の書類を提出し、できれば、実際行ってみる(2回目の期日でもよいですが)のもよいと思います。

もともと、自分たちだけでは無理だと思えば、早めに、弁護士に相談する方がよいですが、迷われるようでしたら、調停委員の話、意見を聞いて、必要があれば、弁護士に相談下さい。

※【裁判所から送付される書面】

① 期日通知書
② 調停申立書・遺産目録などのコピー
③ 「遺産分割調停案内(相手方となられた方へ)」、<遺産分割調停の相手方となった方へ>、<家事事件の相手方となった方へ>などの名称の裁判所からの説明書
④ 連絡先等の届出書
⑤ 非開示の希望に関する申出書(必要がある場合のみ提出)
⑥ 「答弁書」、「事情説明書」などの名称の事実関係を主張する書面(必ず提出する必要があります。)
⑦ 進行に関する照会回答書(相手方用)などの進行に関する書面(必ず提出する必要があります)
⑧ 遺産分割調停の進め方(チャート図)
⑨ 書面の提出について
⑩ 遺産分割調停に必要な添付資料(相手方用)
などがあります。なお、これらは東京家庭裁判所の場合です。