母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
そこで、遺産分割調停を家庭裁判所に申立てようと思います。
ただ、調停がうまく成立すればよいですが、成立しない場合、調停はどのようになるのでしょうか。
調停手続の終わり方としては、①調停の成立②審判手続への移行③調停に代わる審判④取下げ⑤調停をしない措置(なさず、家事審判手続法271条、家事審判規則132条1項)があります。
①②については、「遺産分割調停手続の終わり方1(①調停の成立、②審判手続への移行)」で、説明しましたので、ここでは、③調停に代わる審判について、説明します

③の調停に代わる審判とは、家庭裁判所が、調停手続において、審判で調停案を決定し、当事者が、この審判の告知を受けてから2週間以内に異議を申し立てないなどの場合は②の審判と同様の効力をもつという制度です。

実質的には合意ができているのに、いろいろなことが問題となり調停が成立しない場合があります
このような場合、調停に代わる審判が使用されます。
例えば、
・ 出頭している当事者が調停条項案に合意し、欠席の当事者も合意の意向を示している場合
・ 感情的な対立等から調停で合意を成立させることは拒否するが裁判所の判断には従うという当事者がいる場合
・ わずかな意見の相違により調停が成立しない場合
・ 当事者で手続遂行の意欲を失っている者がいる場合
など多数の場合が考えられます。
遺産分割調停では、よく使用される制度です。

裁判官も、審判で提示した調停条項であれば、異議なく成立すると見極めて、決定を出しますので、通常の場合は、調停が成立します。
ただし、稀に、行き違い等のため、当事者から見ると、どうしても、納得できない調停条項が示されることもあります。

異議を出すと、それからは、審判手続になるため、専門知識がない方では、対応が困難です。できれば、条項についての案等を示された段階で、弁護士に相談されることをおすすめします。