母が亡くなった後、兄が母の生前から母の貯金からお金を無断で引き出していたことがわかったことから、私の相続分を返還するよう頼みましたが、返還してくれず、やむをえず、弁護士に依頼して、訴訟を起こしました。
弁護士からは、訴状や、相手方の書面も含め準備書面、証拠説明書、甲・乙号証、経過報告書等のたくさんの書類が送付されるのですが、どう整理してよいかわからず、そのうち、一部をなくしてしまいそうです。
どう整理したらよいか教えて下さい。
訴訟や調停で、当方や相手方が提出した書類等を、弁護士から送られるまま、バラバラに放置すると内容が分からなくなり、また、紛失しやすくなります。
そこで、以下の内容を参考に事件ファイルを作成し、整理するようにして下さい

明治時代には、裁判所も、民事訴訟の記録を、当事者双方から提出される書類を提出順に、大福帳のようにとじていたそうです。
しかし、このやり方だと、どの書類がどこにあるかわからなくなってしまいます。
そこで、3分類して、民事訴訟記録の編成を行うようになりました。
弁護士も、裁判所のやり方にならい、個人により若干の差はありますが、下記のように訴訟の記録を整理しています。
そこで、その整理方法を説明します。

また、調停についても、同様の方法で整理します。

具体的な整理の方法ですが、まず、最初に

① A4サイズの紙ファイル(二穴のもの)を用意して下さい。これが事件ファイルになります。
(事件によっては、後記で述べる「主張」と「証拠」がかなりの量になるので1冊ずつ、「資料等」で1冊、合計3冊ご用意下さい。簡単な事件の場合は1冊のファイルでまとめても結構です。)

② 事件ファイルが3冊の場合には、「主張」「証拠」「資料等」という見出しをつけます。
1冊の場合は、仕切紙で仕切ったり、タブを付けたりします。

以上の用意ができましたら、弁護士から受け取る書類を、二穴を開けて、以下のとおりに分けてファイルにとじてください。

③ 「主張」には、訴状、答弁書、準備書面(調停の場合は「主張書面」という名称になります)など、双方の言い分を書いた文書をとじます。
裁判が進行していくにつれて、自分の弁護士が出した書面と相手の弁護士が出した書面が交錯してきます。提出順にこれらをとじます。

④ 「証拠」には、裁判所に提出した(または相手方から提出された)甲号証、乙号証をとじます。
中間に仕切り紙を入れ、原告側の甲号証と被告側の乙号証とを区分したほうが見やすいでしょう。また、証拠説明書(調停の場合は「資料説明書」という名称になります。)は、甲号証、乙号証のそれぞれ前に、まとめて入れるのがよいと思います。

⑤ 「資料等」には以下のようなものをとじます。
A 証拠としては正式に提出していないが、参考になる資料を保存しておきます。
診断書や領収証の原本類は直接穴をあけたりはせず、ポケットリーフ等にさし込んでおくのが無難です。
将来、証拠として使うこともあるからです。書き込み等もしないように、気づいたことを記載する場合等は付箋にメモして貼り付けるようにしてください。

B(弁護士が期日ごと等に送付する)経過報告書、書簡、ファクシミリ、電子メールなど弁護士とやりとりした文書をファイルしておきます。

C 弁護士との打合のときに弁護士からアドバイスされたこと、自分から伝えたこと、将来弁護士に伝えたいことなどのメモ等です。

記録がバラバラになりますと、弁護士と状況の認識にズレが生じ、正しい判断ができなくなりかねませんので、前記を参考に記録の整理をしていただければと思います。