4年前に父親が亡くなり、2年前に母親が亡くなりました。
父親と母親の相続人は、兄と弟である私です。
兄は、父の遺産であるマンションの1室(時価3000万円)に住んでいます。
父には、300万円ほどの預金が遺産としてありました。母には、特に遺産はありませんでした。

父親が亡くなった時にも、兄に遺産分割をしてくれと言いましたが、母が生きているからといって言を左右して応じません。
母が亡くなった後も、遺産である預金は私のものにするからと言ってきています。
しかし、法定相続分だと、私と兄は2分の1ずつのはずです。そうだとすると、
(3000万円+300万円)÷2=1650万円
で、私の相続分は1650万円なのに預金300万円では納得できません。
しかし、兄は、これ以上、交渉に応じようとしません。どうしたらよいでしょうか。

このような場合は、遺産分割の調停を行うことをおすすめします。
まずは、相続に強い弁護士に相談をしてください。
その上で、ご自分では、忙しいという場合や、やり方が難しいと感じる場合は、相続に強い弁護士に依頼することも検討ください。

相続人が、遺産である不動産の上に居住されていることは、遺産分割の紛争でよくあることです。
本来は、相続発生前に、被相続人が遺言書を残したり、保険等で対応するか、居住している相続人が代償金(特定の遺産の現物を相続した相続人が、その対価として他の相続人に対し支払う金員)を準備する等しておいていただければよいのですが、なかなか、準備できないのが実情です。

居住されている相続人からすれば、今の住んでいる状況が継続すればよいことから、当事者同士の交渉では、話が進まないことも多いです。

このような案件で、弁護士が、依頼を受けた場合も、まずは、交渉から入ります。
弁護士が入ったことにより、相手方相続人(本件の場合はお兄さん)も切実感を持ってしていただき、早期に解決することもあります。

ただ、弁護士が交渉に入っただけでは、なかなか相手方も切実感をもっていただけない場合があります。
特に本件のようなマンションの1室の場合、現物を分けること(現物分割)はできないことから、選択としては、売却してお金でわけるか(換価分割)、相手方であるお兄さんが相談者(弟さん)のマンションに対する相続分に相当する代償金を相談者に支払う方法(代償分割)しかないことになりますが、自宅もお金も出すことを拒む相手方は、問題の解決を先延ばしにし、逃れようとされます。

しかし、本件のような場合、調停が不調になり、審判になりますと、居住している相続人が他の相続人に適正な額の代償金を支払うことを証明してその内容の審判を受けるか、強制的に売却する競売を行う内容の審判が出されることになります。

東京家庭裁判所の遺産分割の調停においては、①相続人の確定、②遺産の範囲、③遺産の評価、④各相続人の取得額の決定、⑤遺産の分割方法のプロセスをたどっていくことになります。

そこで、本件の相談者の委任を受けた弁護士は、このような調停のプロセスをたどりながら、早期に遺産分割を解決するように努めることになります。