私は、友人のAと東京の下町の一軒家の土地・建物を共有しています。
ただ、お互い年を取ってきたので、この不動産を分割したいと思っています。
このような共有不動産の分割には、どのような方法があるのでしょうか。
不動産などの共有物分割の方法としては、大きくいって、①換価分割、②価格賠償、③現物分割という3つの方法があります
この記事では、まず、①換価分割について、ご説明します

換価分割とは、共有不動産を売却して、その代金を各共有者の持分の割合に応じて分配する方法です
代金分割、又は、代価分割ということもあります。

売却代金から売却経費等を控除したものを配分しますので、価格について争いになることがない点で、使い勝手がよい方法です。
他方、その不動産自体を保持しようとする共有者がおり、その人が購入できない場合(価格賠償ができない場合)、争いになります。

換価分割には、共有者が協議して売却を行う方法と一方の共有者が、他方の共有者に共有物分割訴訟を提起して、競売を行う方法があります

共有者が協議して売却を行う場合は、共有者間で売り出し価格などの決め方、変更の仕方などを定めた合意書を作成した方がよい場合が多いでしょう。

不動産仲介業者に依頼して買受希望者から買付証明書等を取得して、買主を決めるのが一般です。
購入希望者が多い不動産の場合は、各々の共有者が一般媒介契約で、それぞれ不動産仲介業者に依頼して、一番買付値段が高い候補者に売却するという入札形式が有効な場合もありますが、他方、売却が困難で時間が掛かるケースでは、地道に売却方法を工夫することなどが必要です。

共有物分割訴訟の中で、その共有不動産を売却する内容の和解をすることも協議による売却といえるでしょう。
売却後、和解する方法もありますし、和解後売却する方法もあります。
後者の場合、一定期間等の条件で、競売申立を可能にする条項をつけることもあります。

協議で売却することのメリットは、売却値段の予測がつくこと、指定道路に面していない場合や隣地権者と境界を確認してない場合などの問題がある場合に、これらの問題を解決してから、より高く売却することが可能な点です
他方、1人でも反対する共有者がいる場合、売却できないことがデメリットです。

競売による売却は、共有物分割訴訟により行います
ただし、競売が認められるためには、現物分割などの手段ができない場合や現物分割によるとその価格を著しく減少させるおそれがある場合でなくてはなりません。

競売の手続については、本HPの「共有物分割請求訴訟の流れ」に記載していますので、参考にしていただければ幸いです。

競売のメリットとしては、反対する共有者がいても、裁判所の判決を取得できれば行うことができることでしょう

デメリットとしては、一般的には、価格が安くなることが言われています(時価の80%くらいになると言われることが多いと思います)。
ただし、東京23区内ですと、高額で落札されることも多いと思います。
私の事務所の取り扱った事案でも、事前に不動産会社2社からの価格の意見が8000万円程度だったのが、約1億5000万円で落札された等のケースがありました。

ただ、競売の場合はこのように高額で落札される場合があるとしても、落札されるまでは、どのような値段で落札されるかがわからないという怖さがあり、これが最大のデメリットでしょう。
また、協議による売却の場合は、前記のように共有不動産に指定道路に面していない等がある場合、道路指定を受ける等して売却する余地があるが、競売の場合は、このようなことが困難なことが多いこともデメリットでしょう。

共有地の換価分割は、競売の場合はもちろん、協議による売却についても難しい場合は、専門的な知識がない方が行うのは困難でしょう。まずは、弁護士に相談することをお勧めします。