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母が亡くなりました。相続人は、私と兄の二人です。母は、亡くなる3年前から老人ホームに入っていました。兄から母の亡くなった日の預金口座の残高証明書を見せられましたが、私が思っていたより、2000万円以上、残高が少ないです。
考えたくありませんが、兄が母に無段で引き出したのではないかと疑いたくなります。
このような場合は、何をどのように調べたらよいのでしょうか。 -
お母様の相続人として、まず、金融機関に、お母様の口座の取引履歴を出してもらうことになります。
共同相続人の1人は、他の共同相続人全員の同意がなくても預金口座の取引経過の開示を求めることができます(最高裁平成21年1月22日判決 判時2034号29頁)。
ただし、この判決は、請求者が「共同相続人の1人」であることを前提としていますので、遺言により特定の相続人にその預貯金が帰属した場合に取引履歴を取得できるかについては、金融機関により対応が異なることになります。
また、死亡直前に解約され、死亡時に口座がなかった場合に、下記の取引履歴が取れるか否かについては、預金契約解約後の相続人に対して、銀行は取引経過開示義務を負わないとした裁判例(東京高裁平成23年8月3日判決)がありますので、注意が必要です。
なお、使途不明金の調査の方法というよりは、遺産の調査の方法になりますが、被相続人が亡くなった時に、その銀行の他の支店にも口座があるかもしれないと思われる場合は、銀行に残高照会を依頼する際に、被相続人を口座名義人とする口座について全店照会を行うようにして下さい。これにより、被相続人がその銀行に有する普通預金や定期預金等の種別を問わない全口座と預け入れ金額の全てが記録されて出てきます。これらの口座の中で必要な口座の取引履歴を取得することになります。
取引履歴を取得したら、不審な引出等がないかを確認します。
不審な引出等について、お兄様(相手方)が反論する理由としては、①預金の払戻に全く関与していないという反論、②被相続人の意思に基づく預金の払い戻しであるという反論、③払戻金は被相続人のために費消されたものであるという反論、④被相続人から介護等の後見に対する報酬として、あるいは、贈与としてもらったという反論がありえます。
そこで、これらの反論に備えて、さらに調査する必要がありますが、これについては、また、記事を書きます。
使途不明金の調査1(取引履歴の取得)
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