葬儀費用は、誰が負担するものでしょうか。

このページでは、具体例をもとに葬儀費用の負担に関して説明します。

具体例

父が先に亡くなり、一人暮らしだった母も、このたび亡くなりました。
私は、3人兄弟の長男です。相続人は、私たち兄弟だけということになります。
母の葬儀については、私が喪主として行うことになりました。
母の銀行口座に残っているお金を使って、葬儀を行いたいのですが、かまわないでしょうか。
また、母の銀行口座が凍結されて葬儀費用分を引き出せない場合、私が立て替えた場合、後で、相続財産や相続人から返してもらえるのでしょうか。

結論

葬儀を行う前に、相続人であるご兄弟と葬儀費用の負担について、話し合い、合意することをおすすめします。
他の相続人との合意なく、相続財産であるお母様の口座から引き出し使用したり、自分で立て替えると、後で、争いになり、結局、自分の負担のままになってしまうこともあります。

話し合いができない場合は、弁護士にご相談することをお勧めします。

説明

葬儀費用の負担については、法律に、明確な規定はありません。

そのため、争いになると、喪主が負担すべきであるとする考え方、全相続人が相続分にしたがって負担するとする考え方、相続財産で負担するとする考え方、その地方の慣習にしたがって負担すべき等様々な考え方がでてきます。

話し合い(裁判所での調停も含みます)で解決する場合は相続人が相続分に応じて支払う、あるいは、相続財産から相続分に応じて支出する(この二つの考え方は、実質は、相続人が相続分に応じて負担する点で、同じになります)という形でまとまることが多いのではないかと思います。

しかし、調停でまとまらない場合は、審判又は裁判で争うことになりますが、その結果である審判または判決においては、喪主が全額負担するという結論のものもそれなりにあります。
これは、やはり、審判・裁判まで、こじれる事案においては、葬儀の規模等から相続人全員で葬儀費用を負担するのは公平ではないと考えられるものがそれなりに多いということもあるかもしれません。

なお、香典については、亡くなった人(被相続人)の死亡後に得た財産ですので、遺産分割の対象ではないですが、香典の趣旨から、香典返し等の費用を除いた金額を葬儀費用に充当して算出するのが一般だと思います。