母が亡くなり、父が一人で暮らしていましたが、先頃、亡くなりました。子供は3人で、私は長男で、下に妹2人がいます。父は、家や賃貸アパート等の不動産と若干の現預金を持っているようです。父が亡くなる数年前に、父から、封がされ表面に「遺言書」と「日付」が記載された封筒を「私が亡くなった後、おまえ達兄弟が争わないように、本を見て遺言書を作成したので預かってくれ。」と言われ、預かりました。父が亡くなった後、どうすればよいでしょうか。
お父様から預かったのは、自筆証書遺言のようです。
自筆証書遺言とは、お父様によって、遺言書の本文・氏名・日付のすべてが自筆して作成された遺言書です。自筆証書遺言については、原則として、封をされている場合は、開けずに、お父様の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出して,遺言書の検認を請求しなければなりません。

なお、例外として、2020年7月10日から始まった法務大臣が遺言書保管所として指定する遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する法務局で自筆証書遺言を預かる制度を利用してお父様が遺言書を預けていた場合は検認が不要です。

検認は以下のように行われます。
検認の申立を行うと家庭裁判所は、申立を行った相続人(申立人)を含めた相続人全員に、検認をする日時(期日)の連絡を行います。申立人以外の相続人が指定された期日に出席するかどうかは、自由で、欠席したからといって、罰則等はなく、全員がそろわなくても検認は行われます。

検認の期日には、申立人は、遺言書、印鑑、その他あらかじめ裁判所の担当書記官から指示された物を持参します。
期日では、申立人が遺言書を提出し、裁判官は、封がされた遺言書については、これを開け、検認、つまり、その遺言書の方式について、確認・記録します。具体的には、遺言書及び封筒の紙質、形状、文言、字体、加除訂正箇所、日付、署名、陰影その他について、調書に記録(多くの場合、コピーを調書に添付します)します。また、事件によっては、裁判官が出席した相続人に、申立の動機など、申立の実情や、筆跡が父親(被相続人)のものかどうか等を質問し、その内容を調書に記録します。

なお、通知をもらっても出席されなかった相続人が遺言書のコピーを入手するためには、申立人からもらうか、家庭裁判所で、検認の調書の謄写(コピー)する手続等を行う必要があります。

検認は、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名などの検認の日における遺言書の内容を明らかにして、遺言書の偽造・変造を防ぐことを目的とする手続です。したがって、遺言の効力を決定するものではないので、例え、検認を済ましても、遺言書の無効を争われることはあります。

検認の後は、法務局に預けてあった場合を除き、自筆証書遺言で遺言書に基づき登記や、預金の引き出しを行う等の執行を行うためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、当該家庭裁判所に、検認済証明書の申請を行い、取得することになります。