母が亡くなった後、再婚した父が亡くなりました。
父は新しい母と二人暮らしでした。父の子供は、私と妹の二人です。
新しい母が喪主となり、葬儀、四十九日等もすみました。
父は、いくつかの銀行に口座を持っていたようです。ところが、新しい母は、勝手に父親の口座からお金を引き出して生活しているようです。どうしたらよいでしょうか。
まずは、お母様に、お父様が亡くなっている以上、遺産分割までは、お父様の口座からお金を引き出さないことを言うことが考えられます。しかし、既に言っていても、その行為が止まらなかったり、言っても聞かないと思われる場合もあります。

このような場合は、銀行等の金融機関のお父様名義の口座を凍結することになります。口座を凍結すると、その口座から預金を引き出すことや、引き落としや振込ことができなくなります。凍結は、その口座がある銀行等の金融機関が、その口座の名義人(この場合は、お父様)が亡くなられた事実を知った時点で、行われます。

したがって、新聞に亡くなったことが記載されるような方や、その金融機関から融資を受けている会社の社長等、金融機関と取引を行っている方など、その死亡の事実が金融機関に直ぐにわかる方の場合は、相続人が何もしなくても、金融機関はその口座を凍結します。そこで、このように金融機関に容易に死亡の事実がわかる場合は、口座名義人が入院等の後、亡くなり、口座が凍結された結果、必要なお金(葬儀等)の支出ができなくなり、困らないように事前に家族で準備しておく必要があります。

しかし、他方、市区町村の役所にお父様の死亡届を出したとしても、役所が銀行等の金融機関にお父様の死亡の知らせることはありませんので、本件のように口座が凍結されないままになることがあります。

このような場合は、相続人が、お父様の口座がある銀行等の金融機関に、お父様の死亡の事実を連絡すれば、その金融機関のお父様名義の口座は凍結されます

一度、口座が凍結されると、全相続人が合意したことを示す各金融機関の書類、遺産分割合意書(又は調停証書)、被相続人が死亡した事実及び相続人を確定する書類(被相続人の除票、被相続人・相続人の戸籍謄本、除籍謄本等、相続人の住民票)、通帳(ない場合は紛失届けなど)等を提出しなければお金を引き出すことなどができません。なお、これらの必要書類は、金融機関により異なりますので、事前にHP或いは来訪、電話等して、確認する必要があります。

このように、口座の凍結を解除するためには、全相続人で遺産分割の協議を行わなければなりません

協議を行うためには、お父様(被相続人)の預貯金残高を調べる必要があります。そのためには、お父様の口座がある銀行等の金融機関の支店で、口座残高を照会することになります。

相続人であれば、1人で銀行等の金融機関の支店の窓口で、被相続人名義の口座の残高照会をすることができます。多くの金融機関では、口座のある支店でなくてもよいですが、口座のない支店の場合は事前に電話等で確認した方がよいでしょう。その上で、支店に行き窓口で、お父様の口座の残高照会を頼むと、指定した日(通常、お父様が亡くなられた日を指定します。)の時点で、存在する現預金の残高の証明書(残高証明書)を発行してくれます。さらに、全店照会を依頼すれば、その支店の口座以外のその金融機関にあるお父様名義の口座とその残高の証明書を取得できます。なお、この場合は、お父様(被相続人)の相続人であることがわかる戸籍謄本、除籍謄本、住民票等及び本人確認証(免許証、パスポート等)が必要になりますので、事前に、当該金融機関に確認ください。

さらに、相続人であれば、被相続人(この場合であればお父様)名義の口座の10年前からの口座の取引履歴を取得することもできます。お父様の生前及び死後に引き出されたお金の動きを把握することが必要な場合は、これも取得することになります。ただし、金融機関によっては、取引履歴の取得について、長期の期間になるとかなりの手数料が必要になる場合もありますので、事前に、どの程度の手数料がかかるか、確認することが必要です。

このように、預金口座の残高等の資料を集めたら、他の相続財産の資料(不動産その他の相続財産の資料の集め方については、また、HPで記載します。)が集まったら、それを元に、遺産分割の話し合いを行うことになります。

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