いままで、遺産(相続財産)の調査について、株式等の相続財産の探し方、相続債務(借金)の調査方法で、相続財産の調査の仕方を記載してきましたが、新しい制度等もできてきましたので、ここで、再度、まとめていきたいと思います(現時点は、令和3(2021)年11月です。)
本稿では、基本的事項について、記載します。
大きく分けて遺産を調査する方法としては、
Ⅰ 亡くなった方(被相続人)の残した資料を探す方法
Ⅱ 外部の金融機関その他のシステムを使って探す方法
のふたつに分けられます。
両方の方法を、同時に使用しながら、被相続人の財産を確認することになります。
基本は、まず、被相続人の自宅等で、預貯金の通帳、確定申告の申告書、遺言書、登記識別情報(権利書)、固定資産税の通知書、遺言書、生命保険会社からの通知・控除証明書等、証券会社からの通知・報告書等、賃貸借契約書等の書類を探すことになります。
現時点では、被相続人(亡くなられた方)の世代はインターネットの使用率が大きくなく、紙の資料を探すことにより、かなりの情報を得ることができます。
また、前提として、被相続人の履歴(職歴、居住場所等)を、まとめておくとよいでしょう。
今までは、住民票の除票(転出や死亡などで除かれた住民票)や、戸籍の附票(本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録され他書類。)は、保存期間が、その住民票・戸籍が除票・除籍になってから5年でした。
そのため、被相続人が住民票や本籍を移転して5年をすぎると取得できなくなっていました。
しかし、令和元(2019)年6月20日から、保存期間が、150年に延長されました(住民基本台帳法施行令34条1項)。
とはいえ、1度破棄した書類は戻りませんので、平成26(2014)年より前に削除された戸籍の附票等の取得はたまたま残っている場合は除けばできません。
作成時点で残っている戸籍の附票等とその他の記録、記憶で、被相続人の履歴(職歴、居住場所等)を作成することになります。
なお、忙しく戸籍の附票等を取得する時間が取れない場合は、とりあえず、記憶に基づいて、被相続人の履歴(職歴、居住場所等)を作るだけでも助かることがあります。