母が亡くなりました。相続人は、私と兄の二人です。兄から母の亡くなった日の預金口座の残高証明書を見せられましたが、私が思っていたより、2000万円以上、残高が少ないです。

母の口座について兄に聞いたところ、母は、最後までしっかりしており、引き出し等したとしても、自分の判断で、引き出したのだろうと言われました。

私は、母と離れて暮らしており、あまり連絡を取っていなかったことから、母の状況がよくわかりません。このような場合は、何をどのように調べたらよいのでしょうか。

使途不明金の調査1(取引履歴の取得)使途不明金の調査2(引き出しに関与していない等の反論が予想される場合-金融機関の記録の取得)で、使途不明金の調査について、金融機関から取引履歴等の資料を取得することなどを記載しました。

しかし、被相続人(この場合は母)が、その不審な引出・振込の時期に、肉体的にも、精神的にも健康ということになると、特別受益(例えば母親から兄が贈与を受けた等)の問題にはなるかもしれませんが、(無段で引き出したなどの)使途不明金にはなりづらいことになります。

まずは、不審な引出等の時期における被相続人の居住場所(自宅か施設か病院か)、判断能力、身体能力はどうであったかを調べる必要があります。

まずは、被相続人の居住している市区町村の役所の介護担当部門へ、要介護認定通知書、要介護認定資料等の介護認定記録の開示請求をすることになります。単独の相続人の請求に応じる役所も多いですが、中には、全相続人の同意、さらには、全相続人の同意があっても、開示できないという市区町村もあります

この記録が見れば、ある程度の被相続人の生活状況がわかります。

被相続人が通院・入院していた場合は、病院より、診療録・検査記録・看護日誌等の医療記録の開示を求めることになります。ただし、医療記録についても、全相続人の同意を求める病院があります

被相続人介護事業所を利用又は、施設に入居していた場合は、相続人として、介護事業所等に介護記録の開示請求をすることになります。ただし、介護記録の開示についても、相続人全員の同意を求める事業所等があります。

いずれの記録も保存期間等がありますので、可能な範囲で、迅速に取得することが望ましいです。

開示を拒否された場合は、基本的には、証拠保全、文書送付嘱託等の裁判の手続を取ることになりますが、いろいろな意味でハードルが高いです。

これらの記録が取得できたら、金融機関の取引履歴と照合していくことになります。

被相続人の身体状況、移動手段等からして、被相続人が出向くことができない日時、場所において、引出がなされていれば、不審な取引とわかります。また、被相続人の判断能力が低下した時期から出金額が大幅に増加している場合は、疑念が生じます。また、被相続人の判断能力がないと判断される時期以降の引出等は、不審な引出と判断できます。